225号

    
  がんばろう!東北  
  平成28年6月1日
  ● 総  会
新会長に千葉嘉春氏を選出 ― 16年度定時総会 (宮建協)
 宮建協は25日、16年度定時総会を開き、新会長に千葉嘉春副会長兼専務理事(熱海建設代表取締役)を選出した。
 総会ではこのほか、復旧・復興事業への対応をはじめ、中長期的な担い手の確保・育成と処遇改善、建設業の理解促進に向けた戦略的広報の推進などを柱とした16年度の事業計画を決めた。
  ● 入札・契約
3保証に前払金保証の事務処理迅速化を要請 (国交省)
 国交省は16年度予算の早期執行を後押しするため、公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)に保証事務処理の迅速化・書類の簡素化を求める通知を出した。
 前払金の使途内訳明細書の添付書類を施工体系図だけにし、使途審査を原則3日以内で行うよう求めた。これによって最短3日程度で前払金が支払われるようになる。
 政府は4月、15年度当初予算と補正予算の繰り越し分と16年度当初予算を合算した「予算現額」の8割程度を上半期の9月末までに契約する方針を打ち出している。
前払金の使途拡大、現場管理費のすべて対象に (国交省)
 国交省は16年度予算の早期執行に向け、同省直轄工事の前払金の使途を拡大する特例措置を講じる。
 これまでは対象外だった現場管理費と一般管理費にも使途を広げ、一般管理費は工事施工に必要な費用に限定して認める。拡大分は前払金全体の4分の1を上限にする。
 16年4月1日〜17年3月31日に新たに請負契約を締結し、3月31日までに前払金が支払われる工事が対象。これにより、早期の工事着手、事業進ちょくにつなげる。
総合評価方式の運用指針改定 手持ち工事量を評価 (国交省)
 国交省は、直轄工事の入札で運用する総合評価方式の運用ガイドラインを改定した。
 「段階的選抜方式」を本格運用するため、同方式の考え方や手続きを明記した。
 施工能力評価型や技術提案評価型の入札では各整備局が手持ち工事量を評価項目に設定できるようにし、技術者評価では原則として産休期間などを評価期間の対象から除外することを盛り込んだ。
 また、総合評価方式の一般競争入札で段階的選抜を行うと明記し、技術提案評価型(A型、S型)では技術提案を求める競争参加者が比較的多くなることが見込まれる工事で活用を検討。
 施工能力評価型はI型でヒアリングを行う競争参加者を絞り込む必要がある場合に実施し、II型では行わないとした。
歩切り実態のフォローアップ調査実施 (国交省)
 国交省は「歩切り」に関するフォローアップ調査を実施する。すべての地方自治体に5月1日現在の状況を聞く。
 特に予定価格の漏洩を防止することを目的にしたランダム係数による減額や設計書金額の端数を切り下げる端数処理の実態を探る方針。
内訳明示見積書の活用状況を立ち入り検査 (国交省)
 国交省は建設業の社会保険未加入対策の一環として、法定福利費を内訳明示した見積書の活用状況を立ち入り検査する。
 官民問わず1次下請に多くの業種を使う工事を主な対象に6月にアンケートを開始。その結果に基づき立ち入り検査する現場を絞り込む。
 元請から下請への見積書活用の働き掛けや、下請から提出された見積書の尊重などの状況を確認し、必要に応じて元請企業を指導する。
 下請企業、労働者に法定福利費を行き渡らせることで社会保険加入促進につなげる。
社会保険未加入の2次以下に排除措置を検討 (国交省)
 国交省は、社会保険加入対策として直轄工事で進めてきた元請企業や1次下請企業への排除措置に続き、通報・加入指導にとどまっている2次以下への対策強化に踏み切り、2次以下への排除措置を視野に検討に入る。
 1次と2次や2次と3次の、いわゆる「民民契約」に、発注者としてどこまで踏み込んでいけるのかが、今後の焦点になる。
  ● その他
建設現場におけるWLBを直轄で率先実施へ (国交省)
 国交省は、建設現場におけるワーク・ライフ・バランス(WLB)の推進に取り組む。
 直轄工事を対象に調達時における評価(総合評価落札方式による加点)や長時間労働の改善、女性も活用しやすい「快適トイレ」の設置など推進施策をパッケージとして打ち出す。
 直轄工事で率先して働きやすい現場づくりに取り組むことで、建設業への就業や定着など女性の活躍推進を狙う。
東北全体でi―Conの活用を拡大 ― 東北6県・仙台市と意見交換 (東北整備局)
 東北地方整備局幹部と東北6県・仙台市の土木部長らによる意見交換会が17日、東北整備局内で開かれた。
 この中では国交省が力を注ぐi―Constructionをめぐり、東北全体として活用拡大に取り組んでいくことで参加者の認識が一致。災害に備え東北整備局と各県・仙台市が連携を強化する必要性も確認した。
主な動き
▼ 新業種「解体工事業」誕生 登録基礎ぐい試験追加 (国交省)
▼ 15年度東北6県建設工事受注 ー 10.8%増の4.5兆円 (国交省)
▼ 16年3月末の許可業者46.7万社 (国交省)
▼ 公共建築相談、15年度2,488件対応 ー 認知度向上、民間含め活用進む (国交省)
▼ 初のICT活用工事を公告 新庄河川など3件 (東北整備局)
▼ 第10次職業能力開発基本計画 生産性向上へ人材育成 (厚労省)
▼ 国交省に杭工事自主ルール提出 技術者の役割・責務明確化 (全建)
▼ 復興係数の継続など要請 ― 東北整備局と意見交換 (宮建協)
▼ 16年度定時総会を開催 河合会長を再任 (仙建協)
▼ 4月の請負金額、17年ぶりの1.2兆円台 (東日本保証)
  時事総論  
 日本経済のデフレ脱却の課題が、少子高齢化による潜在成長力の低下にある。とくに建設労働力、別けても技能労働力の不足が、日本経済にとっても深刻な問題だし、業界にとっては喫緊の課題だ。
 昨年度、いささか遅きに失したが、建設業振興基金が中心になり厚労省「建設労働者緊急育成支援事業」がスタート、初年度は目標をほぼ達成した。先日、近畿の「三田建設技能研修センター」を見学したが、82年設置以来の経験と実績を生かし、新たに四国からの参加も加わり、緊急育成支援事業を巧く熟していた。新年度も積極的に取り組むようだ。
 同じ振興基金が「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」を発足、業界のニーズ調査を実施したが、技能者の質として「多能工、複合工」への期待が高かった。改修工事・リノベーションへの対応から、当然の期待だ。となると、短期に速成訓練とはいかない。
 文科省の中教審が11年1月末、「キャリア教育・職業教育の在り方について答申」した。東日本大震災で、折角の答申も流されかけたが、ここへきて「職業大学」構想を復活させるようだ。人材確保・育成は、技能労働力の世代を超えた再生産だ。教育には時間がかかる。22世紀に向けての強力な教育改革を、心より期待する。
 
     【大内秀明】  
   
   

一般財団法人みやぎ建設総合センター