232号

    
  がんばろう!東北  
  平成29年1月1日
  ● 予 算
平準化推進へ当初予算に初の「ゼロ国債 (国交省)
 国交省は、4〜6月の第1四半期など、年度当初が閑散期となってしまう公共工事の壁を打破する「平準化」の推進に力を入れる。
 直轄工事における率先行動として、17年度予算案に約1,400億円の『ゼロ国債』を設定。
 従来から取り組んでいる2カ年国債とのセットで約3,000億円規模の“平準化措置”に踏み切る。当初予算でのゼロ国債の設定は初の試みとなる。
 初年度の支出がゼロである「ゼロ国債」は、設定した年度に発注・契約を行うが、国費の支出(施工)は翌年度となる仕組みなので、4月〜6月の事業量の落ち込みを緩和できる。
17年度予算案 ー 公共事業関係はストック効果を重視 (国交省)
 国交省の17年度予算案は、一般会計が前年度と同水準の5兆7,946億円となった。
 公共事業関係費は前年度比0.01%(約18億円)増の5兆1,807億円。
 一般公共事業費には5兆1,273億円、災害復旧等に534億円を計上した。
 「成長と分配の好循環」による日本全体の成長力の底上げなどの実現に向け、ストック効果を重視した社会資本整備などを推進する。
16年度第3次補正、災害復旧に944億 (国交省)
 16年度第3次補正予算のうち、国交省は、台風や豪雨によって被害を受けた河川、道路、港湾など公共土木施設の災害復旧に944億円、領海警備の強化など戦略的海上保安体制の構築に30億円を計上した。
 公共工事の平準化措置として、2,984億円の ゼロ国債を 設定している。
  ● 入札・契約
女性活躍推進へ企業の格付け評点に加点 (仙台市)
 仙台市は、工事の入札参加資格を審査する格付け評点(主観点)の評価項目に、新たに
▽女性活躍推進
▽次世代育成支援
▽刑務所出所者などの雇用協力
▽市消防団協力事業所認定
の4項目を加え、積極的に取り組む業者を優遇する。
 各項目に該当する場合はそれぞれ10点を加算。来年4月からの発注工事に適用する。
 新設項目のうち、女性活躍推進では、女性が働きやすい職場環境づくりに取り組み、国の「女性活躍推進法」に基づく認定(えるぼし認定)を受けていることなどが要件となる。
● その他
キャリアアップシステムの運営は振興基金に (官民コンソ)
 技能労働者の経験や技能といった本人情報を業界統一のルールで登録・蓄積する「建設キャリアアップシステム」が実現化へ踏み出す。
 取り組みを先導してきた官民コンソーシアムは、システムの運営主体を建設業振興基金に決定した。
 システムのスペックを示す要件定義書とシステム開発業務の発注に必要となる調達仕様書を固め、年明けからシステム開発が動き出す。
15年度経常利益率、被災地がトップ3維持 (東日本保証)
 東日本建設業保証がまとめた東北6県の15年度建設業の財務統計指標で「総資本経常利益率」の平均は5.5%で、過去10年で最高値となった前年度から0.5ポイント減少した。
 東日本管内では福島が7.9%でトップ。岩手が6.3%、宮城が6.1%と被災3県が昨年に続き上位を占め、東北全体の経常利益率を牽引した。
 売上高経常利益率も東日本大震災の被災地では、発注のピークを過ぎたものの高い利益率を維持していることがわかった。
 資金面の安定性を表す「流動比率」は青森、秋田、山形が東日本平均を上回ったが、宮城の213.2は管内で最も低い数値となった。
17年度も復興係数継続 ー 働き方改革PJ新設へ (国交省)
 国交省は、復興加速化会議を開き、復旧・復興事業の円滑な施工対策の在り方などについて意見を交わした。
 この中で国交省の石井啓一大臣は、被災3県に適用している復興係数を17年度も継続することを表明。
 建設業の担い手不足に対応するため、ICT活用工事の推進・普及、業務改善、ワーク・ライフ・バランスの改善などを総合的に進める「東北復興働き方改革プロジェクト」に取り組む考えも打ち出した。
ICT活用10事例などを掲載した事例集を策定 (東北整備局)
 東北整備局は、ICTを活用した取り組みなどを盛り込んだ「ICT活用取組み事例集」をまとめた。
 ICT土工など計10事例を写真などを使って詳しく解説しており、「UAV活用により起工測量の日数が5日から1日に短縮できた」「ICT建機を用いることにより、丁張が不要となり人員削減に寄与した」といった現場の声も取り上げている。
 この事例集は、i―Conの中でトップランナー施策の一つに位置付けられている「ICTの全面的な活用(ICT土工)」の普及・促進に向けて、東北整備局管内の優れた事例を紹介するもの。
 河川、道路、港湾、業団体との連携という分野ごとに工事概要やICT活用状況、現場の声を掲載するとともに、ICT建機の購入などに当たって活用できる税制優遇・補助金制度も参考資料として添付している。
ASP試行を東北各県に働き掛け ― 工事情報共有システム研究会開催 (東北建協連)
 東北建協連(千葉嘉春会長)は、工事情報共有システム研究会を開き、ASPを使って工事に関するデータを一元的に管理・保管する「工事情報共有システム」の活用拡大策について意見を交わした。
 この中で今後の取り組みとして、東北各県での試行開始・拡大をさまざまな機会を捉えて働き掛けるとともに、講習会などを通じて同システムに対する理解促進につなげていくことを確認した。
 会合で研究会の委員長に就任した東北建協連の伊藤友良技術顧問は、「直轄工事では昨年から全工事でASPを活用しており、今後の課題は自治体での活用を広めていくことだ。試行を通じて自治体にシステムの良さを知ってもらうとともに、より使いやすいシステムへの改善を検討していかなければならない」と訴えた。
ICT浚渫工の新技術基準類案3Dデータ一貫使用へ、17年度に試行開始 (国交省)
 国交省は、浚渫工事現場の生産性向上策としてICTの全面活用を試行するため、16年度末までに整備する計4種類の技術基準類の案をまとめた。
 全工程で3次元(3D)データを一貫して使用できるよう、基準類ごとに3Dデータの処理方法などを示した。
 今後、海底地形を面的に把握できるマルチビーム測深機の使用料を含めた積算基準も整備し、17年度から国の現場で試行する。
主な動き
▼ 監督・検査にICT導入 ー 来年度から試行開始 (国交省)
▼ 外国人就労者 受け入れ1,000人突破 ー 年度末までに1,900人見込む (国交省調べ)
▼ 2級技術検定を年2回実施 17年度の土木は10月・2月 建築は6月・11月に (国交省)
▼ 地元受注拡大に向け入札契約制度見直しへ ー 営業年数、実績等の評価重視 (宮城県)
▼ 会員企業の女性職員採用割合17%に増加 ー 技術者・技能者での採用増 (全建調査)
   
   

一般財団法人みやぎ建設総合センター